6, 28, 2010驚愕!第13回全日本選手権ロードレース

結果は既報の通り、宮澤 崇史 選手(TEAM NIPPO)が5時間あまりにわたる激戦を制しました。

が、まあ優勝争いとは別の視点で、今回のお目当てはチームブリヂストンアンカー・清水良行選手、京都産業大学・木守望選手であります。

朝一番の特急うずしお2号に乗り、高松で福山・広島方面のバスに乗り換え、福山からは広島空港行きのバス、という5時間の行程。乗り物に乗ってるだけで疲労困憊ですが、同じくらいの時間をもがき続ける全日本選手権。トップレーサーの闘いに胸がワクワクします。会場に着くと、最初に長い長い急坂が。到着早々、湿気と暑さで倒れそうですが、何はなくとも坂を登って徳島車連のピットを目指します。

ピット発見。前日のU-23カテゴリーを走ったかっちゃんと一緒に観戦します。取り急ぎ荷物を置かせてもらって、まずBSアンカーのピットへ。清水選手はローラー中。大事なスタート前は邪魔できませんので、次に京産大のピットへ。秋田監督にご挨拶し、マッサージ中の木守選手にもがんばってねと声をかけますが、かなり緊張した様子。

折り返してBS前、清水選手がローラーを終えたところへ挨拶します。お話するのは初めてですが、学連の頃から応援している選手で、見るからに好青年。サインも快く応じてくれました。今日は本気で狙っている、とのことなので期待も高まるところ。

さて、書きたいことは山盛りあるのですが、まずはレース概要を。

アップダウンが厳しい上にテクニカルな中央森林公園コース12.3kmを16周する196.8kmのサバイバルレース。定刻より15分遅れでスタート。

序盤、清水良行は好位置に

写真はレース序盤、BSのジャージ、#117が清水選手。

薄曇りの中、150名弱がスタートしましたが、最初からいきなりリストラが粛々と進みます。散発するエスケープ+追走集団、そこから切れると当社推定ではもう絶対戻れません。今大会のルールでは、先頭通過から10分経過で容赦なく足切り。あっという間に何人もが降ろされていきます。

中盤、逃げグループに清水選手が入っているとアナウンス。期待が一気に沸き起こります。このまま行くかも。が、やがて吸収。やはりそう簡単には逃がせてもらえません。先頭のメンバーが目まぐるしく入れ替わる展開。

もちろんチームオーダーもありましょうが、その詳細はうかがい知ることなど不可能。頭脳戦&心理戦が着々と遂行されていると想像に難くありません。

約19分毎に目の前を選手団が通過していきます。日本で速い方から数えて何人目というような選手たちが今にも死にそうな苦悶の表情でこれでもかこれでもかと周回を重ねる姿はまさに圧巻。この中の誰かが勝つのでしょうが、もはや誰が勝ってもおかしくはない面子が前団には勢揃い。間違いなく日本最高峰の一戦。もう目が離せません。

営業展示かも(笑)

が、そのわりには時おり場所を変えての観戦&観察。シマノピットには今秋には発売するかも、という新製品がさりげなく置かれていたりして、購買意欲をそそります。

スタッフさんに話を聞くと、ハブ回転部が改良されているそうで、さらによく回るようになっているとのこと。実際に持たせてくれました。うむむ、たしかによく回る…しかもかっこいい。

このほか、各チームのピットは小ネタが満載。いずれ小出しにすることに。

京産大ピットには、残念ながらDNFとなった木守選手。おつかれさまと声をかけますが、勝つために来て勝てなかったという悔しさがありあり。また次がんばればいいなどという呑気な雰囲気は微塵もありません。昨年の学生選手権を制したトップライダーにしてこの痛々しさ、声をかけたこちらが申し訳ない。木守選手、これからも応援します。ついでにすみませんが爪の垢をわけてもらえませんか…。

BSピットには、こちらも逃げまくって力尽きた清水選手。素晴らしい走りを見せていただきました。「せっかく応援していただいたのに、切れてしまいました。すみません。」とは、いかにプロレーサーであってもなかなか言えません当社推定。全力を使い果たし、疲れて心も折れているに違いない、にもかかわらず一ファンにもきちんと立って真摯に応対してくれる。この人たちはなんというか、よくわかっておられる。強いことは必要ですが、強いだけでは応援してもらえない。実はこの日一番感激したのは、こうした降りたあとの選手たちの姿だったりするのでした。もう、次に買うなら清水の乗ってるアンカーにしようかなとか思ってしまうじゃないですか。かと思えば遊山に来たとしか思えないような選手もどきもいたりして、ああ、ピンからキリまでとはこのことか。

宮澤、鈴木、そして野寺

さてレースはいよいよ最終周、ゴール前はにわかにギャラリー&スタッフで膨れ上がってくる。立入禁止のロープが張られ、遥か遠くから先導車のヘッドライトの光、カーもモトも次々と退避、そして勝者のためだけに広々と空けられたフィニッシュエリア。さあ、湧き上がる歓声の中、先頭集団が飛び込んできて、勝った誰かが叫ぶ。大きく腕を広げたのは宮澤!観客のうおおおおおおおおおというどよめきと、高速連写のシャッター音の嵐をかき消すように、目の前を左から右へ、宮澤の声にならない雄叫びが通過していく。平凡に練習していては一生だせない歓喜の叫び。ううう、かっこいい。かっこいいよ宮澤(敬称略)!

そして立ち止まった勝者の周りにはっという間に人だかり。その中心で日本最強のロードレーサーがチームメイトと抱き合い肩をたたき合って泣く。ちょっと笑って、また泣く。ようやくハグがほどけ、コントロールへ向かいますが、まだ涙がおさまらない。

フィニッシュラインはその間にも後続選手が続々と通過、200kmを闘い抜いたその中に、イナーメアイランド信濃山形の高岡選手を発見。

男前です

声をかけると、にっこりと爽やかな笑顔が返ってきました。

言っておきますが、これは走る前でない。5時間あまり走って走って最後にもがいた、激走の直後なのだ。わてら5時間も乗れば、くたびれて笑うことなどできません…あんた本当に会社勤めのヒトなのですか。ま、ご本人はご本人の感覚で走っておられるのでしょうが…やはりスゴイ。

そして遠くから一目見ただけで、この人の走り方は本当にかっこいい。乗り方が素晴らしく綺麗に見えるのです。いや、なんと言っても全日本選手権でプロレーサーと互角以上にわたりあう闘いっぷり、見事。このレースにおいては、あんな選手やこんな選手よりも上位に入ってしまっているのだ。これからもがんばってくださいね。

そして表彰式の歓声など遠くに聞きつつ、ブイグテレコムの新城選手にサインをもらいつつ、あっちゃんのリクエストにより山本雅道選手の奥様を発見したりとか、雑誌で見たことのあるタレントさんを見かけてみたりと、楽しく一日が終わりました。しかもレース観戦は、かっちゃんの解説付きという贅沢さ。もう言うことはありません。

日帰りでこんな面白いというか感動できるレース、夕焼け眉山クラブとしては次のチャンスがあれば絶対見に行くべき。来年はツアーでも組みましょうか。テレビで見るツール・ド・フランスより、ナマで見る全日本選手権の方が絶対絶対オモシロイ。なお、ここでは書けないあんなネタやこんなネタ、楽しくてどうしたらいいのかわかりませんので、しばらく思い出してはうひひと笑ってみることにします。汽車賃のモトは充分に取りました!選手の皆さん、スタッフの皆さん、おつかれさまでした&ありがとう。帰りは徳島県車連の中西さんに同乗させていただきました。本当にありがとうございました。

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